鏡下耳語
人間関係—患者の人権・医者の人権
畑 秀雄
1
1聖路加国際病院耳鼻咽喉科
pp.790-791
発行日 1974年11月20日
Published Date 1974/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208140
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わが国の医療制度は国民皆保険,受診患者は非常に多く,世間では3時間待たされて3分間の診療,やつとの思いで診察室に入つても医者はろくに口もきいてくれないという。これは,耳鼻科専門医のことではないだろうが,しかし,1人の耳鼻科専門医が1日に200〜300人の患者を診療しているという話や,耳鼻科を3年間やると一財産できるという陰口まである。毎日,患者との間によき人間関係を保ちながら多数の患者を診療する,それはなかなか忙しくかつ困難なことであろう。その結果,3年間に一財産をつくり得たとしても,それは,それなりに評価されてよいことであろう。だが,わが国の開業耳鼻科専門医のあり方がそれだけでいいのだろうか。
私は病院勤務医であるから事情が違う。患者毎に手を洗い,患者側の訴えをよくきき,当方からもきき出し,特に手術を要する患者にはいろいろと気をつかわねばならない。それに,診療そのもののみならず,言葉使いにも注意している。患者が子供達であつても,教育ママらしいのが付添つている場合,保険証を出す外人の子供達,それと,学校帰りに学童だけでやつて来る場合との間には,大きな差異があると思われる。それでも社療の点数には差は認められない。
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