Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
湯川秀樹の『自己発見』―思春期の外傷体験
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.184
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109428
- 有料閲覧
- 文献概要
湯川秀樹が昭和47年に発表した『自己発見』(講談社文庫)には,中学時代の外傷体験がその後の彼の人生に与えた影響の大きさが描かれている.
中学1年の夏,学校で海水浴に行き,大きな寺の本堂に合宿した時のことである.到着した日の午後,引率の教師から,仲の良い友人同士で二人ずつ組を作り,一緒のかやに寝るよう指示があった.ところが,「友だちはみな,どんどん相手をきめていっているらしいのに,私だけは誰にもいいだしそびれていた.また,誰も私に声をかけてこない」.しかも,不幸にして生徒数は奇数である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.