Japanese
English
特集 リハビリテーション医学の基礎―神経生理学の進歩
筋緊張異常
Hypertonus.
辻 哲也
1
,
正門 由久
1
Tetsuya Tsuji
1
,
Yoshihisa Masakado
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
痙縮
,
固縮
,
電気生理学
,
脊髄反射
,
評価
Keyword:
痙縮
,
固縮
,
電気生理学
,
脊髄反射
,
評価
pp.521-528
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109246
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はじめに
筋緊張muscle toneは,筋をリラックスさせた状態で,検者が四肢を他動的に動かした時に生じる抵抗の程度により評価される.筋緊張の原因は,筋自体に備わっている粘弾性と,筋が伸張されたことにより引き起こされた反射性の筋収縮,すなわち伸張反射による2つのメカニズムが考えられる.
正常の筋では,筋紡錘やα運動ニューロンの興奮性は低いので,安静時のゆっくりとした他動運動時の抵抗は低い.筋の粘弾性が高くなったり,伸張反射の興奮性が増すと抵抗が増加するが,その状態を筋緊張亢進hypertonusと呼び,これには痙縮spasticityと固縮rigidityの2つのタイプがある.両者とも,ADLや歩行能力などリハビリテーションの阻害要因となり,リハビリテーションの機能予後への影響も大きいことから,リハビリテーション領域で日常的に耳にする言葉であるが,その病態生理にはいまだ不明な点が多い.
そこで本稿では,神経生理学的な観点から,痙縮,固縮のメカニズムについて,最近の知見をまじえて解説する.
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