Japanese
English
特集 不全頸髄損傷とリハビリテーション
社会復帰の現状と課題
Present Status and Task of Rehabilitation.
田中 真弓
1
,
能登原 正彦
1
,
坂下 泰子
1
,
岸 典子
1
,
大藪 弘子
1
,
大喜多 潤
1
,
中島 咲哉
1
,
高田 正三
1
Mayumi Tanaka
1
,
Masahiko Notohara
1
,
Yasuko Sakashita
1
,
Noriko Kishi
1
,
Hiroko Oyabu
1
,
Megumi Ohkita
1
,
Sakuya Nakajima
1
,
Syozo Takada
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院
1Hyogo Rehabilitation Center
キーワード:
重度身体障害者更生援護施設
,
生活支援
,
地域関係機関
Keyword:
重度身体障害者更生援護施設
,
生活支援
,
地域関係機関
pp.349-355
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109207
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はじめに
頸髄損傷者(以下,頸損者)の社会復帰の形態は,その損傷レベルと麻痺の状態(完全または不全)によってさまざまである.これらの障害は主に四肢機能障害に感覚障害が合併するのが大半で,全身性の障害である.同じ脊髄損傷には胸髄および腰髄損傷があり,これらは比較的動作の自立度が高いが,頸損者はこれに比べ極度に運動が制限される障害である.特に不全頸損者は,四肢機能障害・感覚障害・年齢等の違いによって個人差がさらに大きくなってくる.完全麻痺の場合にはその障害レベルが重度でも,身体機能が完全に損傷されているため,かえって早期に障害の受け入れができる患者がいる.しかし,不全麻痺の患者のなかには,四肢・感覚機能等が残存するものがあり,また改善・回復が見込まれる場合もある.そうなると人間の心理として改善・回復を期待するのは当然であり,そのような心理状態が障害の早期受け入れを困難にしているといえる.また,不全頸損者では,下肢障害に比べ上肢障害が高度で,痙性や痛み,しびれといった障害特有の症状が残存することが多く,そのためにADLの改善等がはかどらず,身体的・精神的ストレスが大きくなって,介護者である家族をも巻き込んだ複雑な問題を生じるケースがみられる.
今回は障害の受け入れにおいて,困難を伴うことの多い不全頸損者の社会復帰に焦点を当て,現状と課題について考察する.
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