巻頭言
求職障害者数の増加
佐藤 徳太郎
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.315
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109200
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就業は単に収入の確保だけではなく,社会的役割を遂行し,自己実現の機会を得るものであり,職業的自立は労働年齢期の障害者にとって社会参加の大きな目標である.
最近,失業率は4%台を維持し,有効求人倍率は昨年中期より0.5以下となっている.公共職業安定所で見た障害者の就職率も平成10年には32.7%に低下した.その背景の一部には障害者の解雇数の増加がある.解雇数は平成9,10年と増加し,平成10年には2,950人となり,平成8年の1.8倍となっている.これは正しく,不況の影響であろう,他の要因として障害者数の増加が考えられる.平成8年の統計では,身体障害者は約2,933,000人に増加している.しかし,その増加率は年1.5%程度である.一方,民間企業における雇用状況は,平成11年には障害者数254,562人(ダブルカウントを含む),実雇用率は1.49となっており,労働行政の効果もあって,平成5年の240,985人,1.41%から少しずつ増加している.とすると,単に身体障害者の増加では障害者の就職率の低下を理解できないことになる.その最大の原因は,就職件数が年に28,000人前後であるのに対して,有効求職者数が平成元年には55,900人,平成5年には71,200人,平成10年には115,800人へとほぼ直線的に増加していることにある.
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