Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ジストニアに対するボツリヌス治療は広く知られており,諸外国で施行されているが,未だに日本では認可されていない.本邦ではボツリヌスに代わる治療としてMAB(muscle afferent block)療法1-3)という,キシロカインとアルコールを用いた方法が梶らにより報告されている.
今回われわれは,遅発性ジストニアにより頻回に誤嚥性肺炎を繰り返していた分裂病患者に,MAB療法を中心とした包括的リハビリテーションプログラムを施行することで,著明な改善を得ることができたので,若干の考察を含めて報告する.
MAB療法とは,大量の低濃度局所麻酔薬と少量のアルコールの筋注により,求心性神経の働きをブロックし,結果としてジストニアなどの筋緊張を緩和することを目的とした治療法である.
方法は筋電図波形がモニターできるモノポーラ・ルーメン針を用いて,目的筋にまず投与予定量の8割の0.5%キシロカインを注入し,次にキシロカイン投与総量の1/10となる無水アルコールを注入し,最後に針を引き抜く際にアルコールが皮下に漏れないようにするため残り2割のキシロカインを注入する(図1).注射直後から効果が発現し,不随意収縮は軽減する.無水アルコールを加えることによりキシロカイン単独の場合より効果は持続するが,初回は24~48時間以内に減弱してくる.週1~2回繰り返すことにより次第に効果が持続するようになり,計10~20回の注射でプラトーに達し,その状態が注射を中断しても2~3か月以上続くことが多いといわれている.副作用として筋の硬結,めまい,酩酊,悪心,頭痛キシロカインによるアナフィラキシーショックやアルコールが皮下に漏れた際の局所痛などが報告されている3).
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.