Japanese
English
調査
精神遅滞成人における適応行動の構造的特徴
The Structure of Adaptive Behaviors in Adults with Mental Retardation.
佐藤 秀紀
1
,
中嶋 和夫
2
,
岡田 節子
3
,
三輪 憲道
3
Hideki Sato
1
,
Kazuo Nakajima
2
,
Setsuko Okada
3
,
Takamichi Miwa
3
1北海道医療大学医療福祉臨床学講座
2岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科
3東京都心身障害者福祉センター
1Department of Clinical Social Work, Health Sciences University of Hokkaido
2Department of Welfare System and Health Sciences, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama Perfectural University
3Tokyo Metoropolitan Rehabilitation Center
キーワード:
精神遅滞
,
適応行動
Keyword:
精神遅滞
,
適応行動
pp.1385-1391
発行日 1997年12月10日
Published Date 1997/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108552
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はじめに
精神遅滞は,アメリカ精神遅滞協会(AAMR)の「精神遅滞の分類」による概念規定によって,「全般的知的機能が有意に平均より低く,同時に適応行動の障害を伴っており,かつ発達期中に現れるものを指す」と定義されている1).この概念規定は,「精神障害の診断と統計マニュアル・第3版」(DSM-Ⅲ),およびその改訂版(DSM-Ⅲ-R)においても同様である2).このような概念的背景から,精神遅滞者に対する自立指標として,知能指数の分類を基礎とする適応行動の評定がなされている3).
近年,ノーマライゼーション思想を背景に,精神遅滞成人が地域生活において独立した豊かな生活を営むための積極的な啓発活動が展開4)されてきていることから,自立指標としての適応行動尺度の有用性はさらに定着されるものと想定される.ただし,適応行動の測定方法には,その構造の概念整理の不十分さや,信頼性および妥当性に問題点を有していることが指摘されている5).したがって,精神遅滞成人の適応行動の構造的な特徴,ならびに,その関連要因を明らかにすることは重要な課題と言えよう.
そこで,本研究においては,精神遅滞成人の地域生活援助指針を得ることをねらいとし,東京都心身障害者福祉センターを利用した精神遅滞成人を対象に,彼らの適応行動に関する構造的な特徴,および,その属性との関連性について検討することを目的とした.
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