書評
栢森良二 著―サリドマイド物語
蜂須賀 研二
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
pp.1350
発行日 1997年12月10日
Published Date 1997/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108545
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フォコメリアはサリドマイド胎芽病の一つである.西ドイツのレンツが1961年11月に最初にサリドマイド服用との関連を「警告」し,さらに,豪州のマクブライドが催奇形性の最初の英語の報告をした.1961年11月27日に西ドイツではサリドマイドの販売中止と回収を開始したが,わが国では1962年9月に回収に踏み切ったものの,完了したのは1963年末頃であった.そのためわが国ではドイツに次いで世界で二番目に多くサリドマイド胎芽病患者を生んでしまった.さらに残念なことに,この教訓をHIV感染防止に役立てることはできなかった……と,栢森良二氏は「サリドマイド物語」のなかで述べている.
著者はリハビリテーション医学の専門医であり,電気生理学のエキスパートとして有名であるが,サリドマイド胎芽病の専門家であることは案外知られていない.帝京大学医学部の有志で,長年,全国のサリドマイド児の健康管理を行っており,著者もその主要なメンバーである.
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