奇形児の問題・4
サリドマイド奇形とその対策
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.49-53
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202723
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1.奇形児に伴う妊娠中絶の問題
「サリドマイド」奇形の報道だけで,妊娠を将来に控えている女性を著しく神経過敏にさせています.まして現実にアザラシ症の奇形児を生んだ両親やその家族の気持はどのようなものでしょうか.これらの人たちをどのように扱い,希望の光を与えてゆくか,問題はこの方面にも広がってきております.
アメリカでは禁止されているので,「サリドマイド」をどのようにして手に入れたのかわかりませんが,セリ-フィンクバインという4人の児の母親の記事が出ています.彼女は「サリドマイド」を服用した恐怖から,奇形児の可能を理由に当局に妊娠中絶の許可を求めました.もちろん,許可されるはずはありません.そこでスエーデンへゆき,妊娠中絶を受けたのですが,果たして奇形であったということです.ちょっと話が整い過ぎているようですが,そのとおりに受け取るより仕方ありません.
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