特集 造血器腫瘍
ひとくちメモ
サリドマイド
加藤 淳
1
1順天堂大学医学部血液内科
pp.1489
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905268
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サリドマイドは40年以上前から鎮静剤,次いで"つわり"に対する治療薬として用いられてきたが,催奇形性と神経毒性が認識されてからは薬剤として長らく忘れ去られていた存在であった.しかしその後,らい病の結節性紅斑や,AIDSに伴う悪液質,ベーチェット病の口内炎,造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する有効性が認められ,今日治療薬として用いられるに至っている.近年新たに抗腫瘍効果のほかに,感染症や自己免疫疾患に対する有効性が認められ,臨床応用が検討されている(表1).とりわけ化学療法に抵抗性になった多発性骨髄腫に対する有効性は約30%と報告され,新たな作用機序を備えた薬剤として注目されている.
サリドマイドの作用機序は不明の点が多いが,免疫調節と血管新生抑制の2つの効果が明らかになっており,多発性骨髄腫に対する抗腫瘍効果として以下の機序が考えられている.
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