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特集 中枢神経障害のリハビリテーション
トピックス
筋萎縮性側索硬化症とSOD
Amyotrophic Lateral Sclerosis and SOD.
森田 光哉
1
,
中野 今治
1
Mitsuya Morita
1
,
Imaharu Nakano
1
1自治医科大学神経内科
1Department of Neurology, Jichi Medical School
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症
,
スーパーオキシドジスムターゼ
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症
,
スーパーオキシドジスムターゼ
pp.1157-1162
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108507
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はじめに
近年,分子生物学的手法が多くの遺伝性疾患の研究に応用され,単一遺伝子が原因と考えられる疾患であれば,比較的迅速にその遺伝子を決定することができるようになった.なかでも,原因が不明であった遺伝性の神経変性疾患の研究・診断に,分子生物学的手法は多大な貢献をした.
筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS)は,上位および下位運動ニューロンが侵され,進行性に全身の筋の脱力と萎縮をきたし,呼吸のサポートを行わなければ発症から平均3年以内に死亡する原因不明の疾患であるが,そのうち5~10%に家族歴が認められ,多くが常染色体優性遺伝を示す(Familial ALS;FALS).近年,FALSの一部の家系で変異Cu/Zn superoxide dismutase(SOD1)が原因遺伝子として同定され,変異SOD1によるトランスジェニックマウスが四肢麻痺を呈することがわかり,注目を集めている.SOD1に遺伝子変異が見いだされるのは,FALS全体の10~20%にすぎないが,個々の症例の臨床症状は孤発性ALSのそれと区別できず,病理学的には運動ニューロンが高度に侵される.
このように,FALSと孤発性ALSとは類似点が多く,変異SOD1が運動ニューロンに変性をきたすメカニズムを研究することで,ALSの大部分を占める孤発性ALSの病態解明にも寄与するものと期待されている.
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