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はじめに
中野によると,「筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は中・老年期に発症し,上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的かつ進行性に侵され,数年で死に至る神経変性疾患である.Charcotの記載以来約120年になるが,その原因は今なお不明であり,画期的な原因療法もない.しかし最近,原因に関する有望な報告が次々なされている.また,治療面ではALSの初めての経口薬riluzoleも発売され,神経栄養因子を中心に数多くの治験が進められている」とある1).40~60歳代に発症することが多く,有病率は人口10万人当たり2~5人である.
症状は,①下位運動ニューロン障害として,筋力低下・筋萎縮・筋伸張反射低下・fasciculation・体重減少,②上位運動ニューロン障害として,筋伸張反射亢進・病的反射陽性・中枢性運動麻痺(痙性麻痺)・痙縮,③運動系脳神経核障害(舌下神経核・疑核・三叉神経核・顔面神経核)として,舌萎縮・舌運動麻痺・口腔咽頭喉頭麻痺・構音障害・嚥下障害・舌fasciculation,④両側性皮質延髄路障害として,仮性球麻痺・強制笑い・強制泣きなどがみられる.これらの症状が徐々に進行する.
陰性兆候として,①褥瘡ができにくいこと,②知覚障害がないこと,③膀胱直腸障害がないこと,④外眼筋麻痺がないこと,の4つがある.平均生存期間は,約3年とされているが,10年以上,20年以上の経過をたどる症例もみられる.全症例の80%以上は,自然経過では5年以内に死亡し2),紀伊半島とGuam島で発病頻度が高い.
ALS患者の在宅生活の環境は,この10年でかなり変化してきているので,生活上の留意点について述べる.
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