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はじめに
言語障害とは,言語という表象符号を用いた情報伝達過程のいずれかのレベルの障害により,言語の符号化・送信・受信・解読などの機能に破綻を生じた状態をいう12).その広義の分類4)は,以下のごとくである(表1).
1)言語による表出と了解の基盤にある心理・生理・解剖学的メカニズムに異常があって出現する言語障害(一次性言語障害)
①失語aphasia
②発達性言語障害
2)言語のみの限定されない心理一般の異常(種々の精神障害ないし精神症状群)があり,その二次的結果(部分症状)として出現する言語障害(二次性言語障害)
①精神障害性言語障害
②神経症性言語障害
③発語障害dysphemia
3)言語による表出と了解の前提条件をなす運動系または聴覚系に異常があり,出現する言語障害(発語障害)
①構音障害dysarthria
③聴覚障害(特に難聴)
この分類では,発語失行apraxia of speechは後述のごとく発声・発語筋群の異常が認められないので,一次性言語障害に入ると思われる.
平山6)は,言語障害のうち言語表出面の異常のみを取り上げ,これを運動性発語障害とした.これは構音障害,失構音anarthria(=発語失行),運動性失語からなり,失構音は構音障害と境を接し,運動失語と往々にして重畳すると述べている.この重畳するということは,発語失行が運動失語とくにBroca失語の主要症状の1つになっており,これがBroca失語から分離し得る症状であるかどうかが問題になっていることを示している.
したがって,発語失行について述べる場合,この問題を避けられないので,このことから述べていきたい.
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