Japanese
English
特集 障害学Update
診断と評価
歩行能力障害―その評価方法を中心に
Gait Disability: with Emphasis on Evaluation Method.
窪田 俊夫
1
,
音琴 勝
1
,
土田 隆政
1
Toshio Kubota
1
,
Masaru Otogoto
1
,
Takamasa Tsuchida
1
1農協共済中伊豆リハビリテーションセンター
1Naka-Izu Rehabilitation Center
キーワード:
歩行能力
,
プログラム作成
,
評価システム
Keyword:
歩行能力
,
プログラム作成
,
評価システム
pp.933-937
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108209
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はじめに
何らかの原因によって歩行に関する能力が障害された状態が歩行能力障害である.障害の階層構造に則り,この歩行能力障害を中心に置いて,重症度に影響を与える各要因の相互関係を示したのが図1である.図の左側の3つの階層の障害は,下向き矢印で示すような原因と結果という決定論的関係のみでなく,ある場合には上向きの矢印に示すような結果が要因にはねかえってくるという,いわゆる自己言及的関係1)になることもある.
下向きの矢印で示す関係については良く知られているのでここでは省略する.上向きの矢印についていえば,社会生活における役割として就労を目的とし,通勤を通じて歩行が十分行われている場合は,歩行能力の維持・向上にプラスに作用し,一方,社会生活のなかでとくに役割をもたず,歩行が目的達成のため手段として余り活用できない生活では必ずしもプラスには作用しない.
また,日常の生活のなかで十分な歩行持久力を獲得していることは,機能・形態障害のなかの筋,骨の廃用性萎縮の進展の予防にとってプラスに作用する.
一方,右側に示した各要因のなかで,基礎体力と歩行障害の間には同様に結果が原因にはねかえるという関係がある.
以下,本稿ではこのように位置づけされる歩行能力障害について,まずその評価の対象を明らかにする目的でその分類を提示した後,いくつかの評価方法について述べる.
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