Japanese
English
調査
学校教育における痙攣性発声障害の現況
A Survey of Spasmodic Dysphonia in School Settings.
中西 由佳
1
,
島浦 浩一
1
,
鳥越 智美
1
,
中里 竜也
1
,
山田 弘幸
1
Yuka Nakanishi
1
,
Kouichi Shimaura
1
,
Tomomi Torigoshi
1
,
Tatsuya Nakazato
1
,
Hiroyuki Yamada
1
1長崎リハビリテーション学院言語療法学科
1Department of Speech Therapy, Nagasaki Rehabilitation College
キーワード:
痙攣性発声障害
,
社会的認知
,
学校教育
Keyword:
痙攣性発声障害
,
社会的認知
,
学校教育
pp.655-658
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108151
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はじめに
痙攣性発声障害(Spasmodic Dysphonia,以下,SDと略)とは,発声時の発声筋に異常緊張が起こり,語音がとぎれてしまう障害である.笑い声や歌声はほぼ正常であるが,場面により症状が変動するといった特徴がある.
矢野(1987)は,心理療法と発声指導による治癒がいずれも発症後間もない例に限られていたことを報告しており1),この疾患の早期発見の重要性がうかがわれる.しかしSDは,患者本人やその周囲にとって疾患としての認識が薄い場合があり,医療が関与できない潜在的な患者が存在する可能性がある.岩村(1990)は,SDに対する認識欠如から耳鼻科医でも見逃し易い疾患であると述べている2).
SDの原因はまだ明らかではないが,矢野(1987)は,1960年以降,心因性ではなく器質的障害であることを示唆する報告が増えつつあるとしている1).また,廣瀬(1992)も,基礎疾患として神経学的問題を持つ患者のほうが問題のない患者を上回るようだとしており3),以前心因性とされていた医学的見解に変化が見られる.しかし,こうしたSDに対する認識が広く一般に及ぶには,まだかなりの時間を要すると思われる.
われわれは,この障害のもつ潜在性,早期発見の重要性,環境改善的アプローチ(社会的認知の向上)の必要性に鑑み,また発症が思春期以降に多いことから,学校教育場面での指導・教育がSDへの正しい認識の普及に大きな影響力をもつと考えた.そこで中学校・高校教諭への意識調査によって,SDについての学校教育場面での現況把握を試みたので報告する.
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