Japanese
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特集 多発性脳梗塞のリハビリテーション
歩行障害の特徴とその対策
Rehabilitation of Multiple Cerebral Infarction: Characteristics of Gait Disturbances and Treatments.
小林 昌之
1
,
蜂須賀 研二
1
,
緒方 甫
1
Masayuki Kobayashi
1
,
Kenji Hachisuka
1
,
Hajime Ogata
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
多発性脳梗塞
,
歩行障害
,
すくみ足
Keyword:
多発性脳梗塞
,
歩行障害
,
すくみ足
pp.533-536
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108124
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はじめに
脳損傷により生じる歩行障害には,1)錐体路障害(いわゆる麻痺),2)基底核障害(姿勢保持と筋活動の保持に必要な統合・調整),3)小脳障害(平衡維持,姿勢維持,歩行や随意運動の統御),4)前庭障害(運動ニューロンの活動調整),5)連合野障害,6)感覚路障害(運動覚の障害),7)脳幹網様体障害(意識レベルの維持と筋緊張の調節)などが関与している可能性がある.
歩行という行為は,意識的であり,随意的でもあるが,歩行動作そのものは意識過程にはのぼらず,自動性をもって遂行される.しかし,上記脳障害により何等かの病変があると,自動性が破綻して種々の脱落現象や代償行為が表面に現れてくる.
多発性脳梗塞では文字通り梗塞巣が多発している状態であるので,上記障害がさまざまな組み合わせで生じていると予想される.本稿では,多発性脳梗塞により生じる歩行障害の特徴と,それと関連する“すくみ足”の症例を提示し,対策を述べることにする.
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