Japanese
English
特集 リハビリテーション医学の基礎研究―神経・筋系
活性酸素と運動
Active Oxygen and Exercise.
南里 宏樹
1
,
池田 正春
1
,
小林 昌之
2
,
蜂須賀 研二
2
,
緒方 甫
2
Hiroki Nanri
1
,
Masaharu Ikeda
1
,
Masayuki Kobayashi
2
,
Kenji Hachisuka
2
,
Hajime Ogata
2
1産業医科大学健康開発科学教室
2産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Health Development, University of Occupational and Environmental Health
2Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
活性酸素
,
運動
,
酸化的ストレス
,
防御機構
Keyword:
活性酸素
,
運動
,
酸化的ストレス
,
防御機構
pp.137-143
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108041
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はじめに
好気的生物は,反応性の高い酸素をミトコンドリアにおける“呼吸”という形でたくみに利用して大量のエネルギー産生を可能にしてきたが,同時に活性酸素による酸化的ストレスのリスクも背負うことになった.運動に必要な大量のエネルギーを消費する筋肉においても,呼吸によるATP産生は重要なエネルギー産生系であるが,運動による酸素消費の増加は活性酸素生成の亢進にもつながる.
活性酸素は,その細胞毒性により種々の組織障害を惹起する攻撃因子であると同時に,活性酸素防御機構の発現を誘導する誘発因子でもあるという二面的な性格を持っている.したがって,運動による活性酸素の生成も,これらの両面より考察する必要がある.どのような運動が最も活性酸素による組織障害が少なく,かつ効率よく防御機構を誘導するかという問題はまだ未解決であるが,運動を健康増進,疾病の予防,改善という目的のために利用するうえでは最も重要な課題と言える.
本稿では,細胞一般の活性酸素の生成とその防御機構について概説し,運動と活性酸素の関連,特に筋肉における活性酸素生成と防御機構について簡単に紹介する.
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