巻頭言
国立大学病院でのリハビリテーション診療に思うこと
立野 勝彦
1
1金沢大学医療技術短期大学部
pp.741
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107933
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大学病院でリハビリテーション診療を行っていて,疾患・障害が変遷してきているのに気づく.以前,1982年から'91年の初診患者の総数6,751名について調査した.年毎に入院患者のリハビリテーション科への受診率が増加し,また患者の平均年齢が高くなってきている.疾患分類では,'83年には整形外科の依頼の中で骨関節疾患が1/3を占めていたが,年々悪性腫瘍が増加し,ほぼ等しい割合になってきている.診療科別の依頼では'82年には整形外科が1/2を占めていたが,'91年には1/3と減少し,外科および脳外科,神経内科からの依頼が多くなっている.初診時の往診率は'83年に23.2%であったが,'91年には28.8%である.術前受診率は'83年には14.7%だったが,'91年には37.9%と増加し,最近はもっと多くなってきている.患者の転帰では,'83年には家庭復帰者が48.6%と最も多かったが,'91年には転医患者が43.3%になり,家庭復帰者を上まわった.これらのことから,高齢化と重度障害患者が多くなってきていること,さらにリハビリテーション医療の理解度が高くなってきていることをうかがい知ることができる.しかし,種々の複雑な要素が絡みあって容易に国立大学ではリハビリテーション科は新設されない.
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