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国立大学病院の経済能率に関する一考察
宮沢 義治
1
,
青木 賢三
1
1東京医科歯科大学
pp.31-36
発行日 1956年10月1日
Published Date 1956/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201152
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1.序説
医療事業の経営目的をJ. E. Stone氏に従つて1)
(イ)量的サービス(a quantitative Service)できるだけ多数の患者を受け入れる。(ロ)質的サービス(a qualitative service)受け入れた患者をできるだけ多く治ゆさせる(ハ)経済的サービス(an economy service)医療に要する費用をできるだけ少くする。とするならば,その目的に対する経営成果の効率即ち,医療経営能率もまた,(イ)量的,(ロ)質的,(ハ)経済的,に分けて考えることができる。たとえば病床利用率,医員及び看護員数に対する患者数の比;患者総数に対する治ゆ患者数の比,病床回転率;患者1人平均(初診から転帰までの)診療稼働額等は,それぞれ量的,質的及び経済的能率の判定尺度として用いられるものである。
国立大学病院は臨床医学の教育並びに研究の機関であるが,一面において医療事業の経営体である以上医療経営能率についても無関心でいることはできない。特にその経済的能率性について一般医療施設と比較考察するのが本論の目的であるがあらかじめ次節において適当な経済的能率の判定尺度(以下経済的能率測度ということにする)を導入しておきたい。
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