連載 他科との連携
大学病院で思うこと
相原 一
1
1東京大学医学部眼科学教室
pp.1922-1923
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907145
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大学病院は広い。最近出来た外来棟はゆったりしていて快適であるし,今度完成する14階建ての病棟も今よりぐっと広そうだ。しかし,広いだけあって,なかなか他の民間病院のように他の科の先生と顔を合わすことが少ない。先日も,廊下で大学の同期に会ったら,「久しぶりだね。いつ戻ったの?」,「去年の春だよ」などといった有様だ。大所帯だと,医局は違うし,人事異動も張り出されないから,いくら同期が多くても役に立たないのである。私は卒後10年経ったし,同期も大学に結構戻っているから,医師も事務も知り合いが多い。頼まれごとが多い分,他科を含め,手術部や検査部門と連携しやすい環境になった。顔を合わせたらまめに挨拶しておくことが,一番大切だと思っている。
患者Mさんは長野県の農家の人だ。流涙を主訴に近所の眼科に出かけた。左眼軽度眼球突出で,脳神経外科でCTをとってもらい,眼窩から視神経管にかけての腫瘍の疑いで,当院の脳神経外科に紹介された。MRI,血管造影をやってやはり生検してみようということになり,脳神経外科で,クレーンライン法で全身麻酔3時間の手術予定になった。眼窩先端部にも及ぶ病変で,私もちょっと首を突っ込んで画像を見せてもらったら,生検だけなら外直筋をはずすだけで十分腫瘍に手が届くようであった。Mさんはというと自覚症状に乏しいし,「俺の目は昔からこんなだ!」と,周りが大げさになってきたため不安で仕方がない様子であった。
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