巻頭言
国立大学附属病院内外のリハビリテーションを取りまく環境
宇川 康二
1
1筑波大学附属病院理学療法部
pp.911
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107478
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筆者の勤務する国立大学附属病院では,理学療法部スタッフが,併任部長1名,専任医師1名,理学療法士3名(常勤2名,非常勤1名),事務1名(非常勤)という少ない人数である.しかし,本院の病床数は,開院時昭和51年が337床,昭和53年が625床,昭和56年から800床に増加し現在に至っている.さらに,平成5年春には,外来診療棟の増設工事が完成している.診療規模は順調に拡大しているが,理学療法部は昭和53年に開設した時と現在とで治療スタッフ数は同じである.リハビリテーション・ニーズの変化に対応したくても,スタッフの人数の点から大きな制約を受ける.それどころか,だれか1名でも病気欠勤にでもなったら,即非常事態に陥ってしまうという綱渡りの日々である.病床数の増加に合わせて職員の適正な配置がなされないことは残念である.スタッフに恵まれた大学病院で,高度先端医療に対応した積極的なリハビリテーションを展開している状況を知るたびに,ギャップの拡大を痛感させられる.
理学療法部は,紹介される患者さんを通して多くの診療グループと関わりをもっている.したがって,各診療グループとの連絡や看護スタッフとの連携が重要なテーマとなる.この問題に対して,前任の専任医師によって始められたリハビリテーション・カンファレンスを定期的に行っている.これは,主治医,看護スタッフの代表,そしてわれわれスタッフとの間で,治療方針,病棟でのADL,退院ゴール等について話し合う.最近は,退院について具体的に話し合うため,患者・家族にも同席をお願いすることがある.さらに,診療グループ主催の患者・家族面談にも参加して,より緊密な連携をめざしている.
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