Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
Astrand1)はphysical fitnessをperformance capacityと捉えている.そして,このperformance capacityに関連する因子のなかで,有酸素性過程によるエネルギー生成に関する研究がもっとも進んでいるとして,この側面からのperformance capacityの分析を行っている.本論文においても,Astrandの考えに従って,脳卒中患者の「フィットネス」を「種々の動作を遂行する能力」と捉え,それを「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」という側面から照らし出してみることにする.
ところで,脳卒中患者に対するリハビリテーションのゴールの1つとしては,地域社会での生活を送るうえで必要とされる種々の動作を遂行する能力を向上させることがあげられる.この動作の遂行能力Astrandが述べている“performance capacity”であり,“フィットネス”である.脳卒中患者のフィットネスを改善させ,脳卒中患者に対するリハビリテーションのゴールの1つを達成するためには,フィットネスを映し出す鏡の1つである「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」の的確な評価と「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」の改善を図るための運動処方の開発が重要である.従来「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」の指標としては最大酸素摂取量がgold standardとして用いられてきたが,近年,循環器疾患患者をはじめとする有疾患患者においては,anaerobic threshold(AT)が広く用いられるようになった.筆者らは脳卒中患者の「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」の指標として,ならびに脳卒中患者の「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」を改善するための運動処方の基準として,ATが適用可能か否かを検討してきた2-4).
本論文ではこれまでに得られた筆者らの成績の概略を示すとともに,脳卒中患者の「有酸素性過程によるエネルギー生成能力」に関する他の研究結果も加えて,脳卒中患者のフィットネスについて述べてみたい.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.