座標軸
リハビリテーションの点数改定はごく小幅―1994年4月診療報酬改定について
二木 立
1
Ryu Niki
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.336-337
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107596
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本年4月から,2年ぶりに診療報酬が改定された.名目引き上げ率は3.3%であるが,薬価基準が医療費ベースで2.1%引き下げられたため,「実質」引き上げ幅は1.2%にすぎない.10月には,入院時の食事の一部患者負担化(1日800円)を財源にして,さらに1.5%の引き上げが予定されており,これを加えると,全体では名目4.8%,実質2.7%の改定となる.ただし,入院時の食事の一部患者負担化のためには,健康保険法等の改正が必要である.
このように今回4月の診療報酬改定は,点数引き上げ率からみると小幅であるが,制度上は大改革であり,それは従来の通知が全面的に廃止されたことに象徴されている.主要な制度改革は,以下の通り:①診療報酬点数表の一本化(甲乙二表の廃止),②各種施設基準の都道府県知事・厚生大臣承認制から届け出制への移行(ただし実施は本年10月から),③診療報酬に地域差を導入(従来の室料と基準寝具料を統合した「入院環境料」に,国家公務員の地域調整手当の地域区分に基づいた,4種類の加算を導入).②により,理学療法・作業療法の施設基準も,都道府県知事の承認制から届け出制に変わる.ただしこの制度改正に伴い,施設基準届け出医療機関に対しては,従来の定期的監査に加えて,別の監査・指導も行われ,この時に施設基準に満たないと判定された場合には,それに関する診療報酬返還とペナルティが加えられることになる.つまり,届け出制と言っても,単純な「規制緩和」ではない(本稿執筆時点では,この点の詳細は未発表).
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