Japanese
English
実践講座 フィジカル・フィットネス
3.代謝異常とフィットネス
Physical Fitness and Metabolic Syndrome.
勝川 史憲
1
Fuminori Katsukawa
1
1慶應義塾大学スポーツ医学研究センター
1Sports Medicine Research Center, Keio University
キーワード:
身体的フィットネス
,
インスリン抵抗性
,
Metabolic syndrome
Keyword:
身体的フィットネス
,
インスリン抵抗性
,
Metabolic syndrome
pp.247-255
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107574
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はじめに
わが国は高齢化社会を迎え,単に寿命の延長だけでなく人生の質(quality of life:QOL)を問う時代になった.医療に対する社会の要求は,疾病の治療だけでなく,健康な心身をいかに維持するかについての指針を提供することに向けられている.QOLの向上には,虚血性心疾患や脳血管障害など動脈硬化性疾患の防止が必須であり,これは糖尿病,高脂血症,肥満,高血圧症等の早期予防を意味する.近年,これらの疾患は「インスリン抵抗性」という共通の背景を持つ互いに関連した病態であることが明らかとなり,これらを総合的に改善させる治療法が望ましいと考えられるようになった.運動はインスリン抵抗性を改善し,動脈硬化性疾患のリスクである代謝異常を総合的に改善する可能性がある.実際,身体活動レベル1-3)あるいは身体的フィットネス4,5)の高い者では虚血性心疾患(CHD)の発生が少なく,CHDの予防として有酸素運動の有効性が広く認識されている6).
本稿では,インスリン抵抗性をめぐる動脈硬化性疾患の新しい概念,動脈硬化性疾患に対するフィットネスまたは運動の効果とその改善のメカニズム,さらに具体的な運動処方について概説する.
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