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はじめに
ADLの場合も往々にしてそうであるが,特にQOLを論ずる場合には,何か他のもの(内科的・外科的治療法など)の効果をはかる「ものさし」としていかにQOLを評価するかという点のみが問題になることが多い.しかしQOLを問題とするのは本来はその向上がリハビリテーションの究極の目標であったからであり,いかにQOL自体を向上させるかが中心的な問題にならなければならないはずである.
また,評価法にしても目的により定まるものであり,ADLについてもQOLについても,その目的が施設間の比較か,患者の経時的変化を見るのか,その中でも特にリハビリテーション効果を見ようとするのか,また治療プログラムを立てるための資料とするのかによって,評価法は自から異なってくるものである.
今回脳卒中患者のADLとQOLを論じるに際してはそれを単に評価のための評価法としてではなく,リハビリテーションの究極の目標であるQOLの向上ということをまず念頭において,その目標達成のための具体的プログラム作りに生かすことを主眼にして検討した.またQOLには客観的QOLの3つのレベル(生物レベル,個人レベル,社会レベル)と主観的QOLという4つの側面からなる構造があることが,障害の構造との関連においてすでに明らかにされており1),われわれもこれまでこれらをできる限り区別しつつそれらの関連性を研究してきた.この論文では主観的QOLを中心にしつつ,それと客観的QOLの諸側面との関連性を見ていくことにしたい.
なお,QOLに対してのADLの関係についてはこれまでリハビリテーション医学における両者の関連の歴史的考察ならびに「QOL向上のためのADL訓練」の重要性について論じてきているので,既論文1-5)をご参照いただきたい.
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