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はじめに
最近,脳卒中では,早期からのリハビリテーションの必要性と有効性が論じられ1)脚光を浴びるようになった.反面,1992年4月の診療報酬改訂において発症後6か月を経過した症例でのリハビリテーション医療では診療報酬上は理学療法(PT)か作業療法(OT)のいずれか一方だけの請求しか認められなくなった.確かに一般的には,いたずらに長期間の入院リハビリテーションを継続することは避けるべきである.
しかし一方,切断等は別として,脳卒中での身体障害者手帳交付にあっては,自治体によって異なるものの現実には6か月ないし12か月を経過していることが条件とされている2).また,国民年金法第30条,厚生年金保険法第47条で,障害基礎年金や障害厚生年金を受給しようとする際,期間内に傷病が治った場合においてはその治った日としながらも3),脳卒中では1年6か月を経過していることが現実には厳しく要求されている.
長期間のリハビリテーション医療には問題があるものの,一概に長期間といってもどれ位以上が長期間であるかは必ずしも判然としていない.あらゆる疾患・障害やその程度について現実をみすえた適切と考えられる期間を再検討していく必要があると考えられる.ところで,脳卒中のリハビリテーション・プログラムとその効果や予後予測4,5)などの報告は非常に多い.また,リハビリテーション専門病院として入院長期化の原因について検討した報告6)もある.しかし,日本の地域リハビリテーション中核専門病院の立場から,入退院時の移動能力を含むADL状況からみた入院日数の妥当性,加療の必要性を検討した報告は皆無である.
そのため今回は,脳卒中を例にとり,発症後6か月でのPT・OT併用療法打ち切りが今日のリハビリテーション医療の実情に合致するか否かを検討したので報告する.
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