Japanese
English
研究と報告
発症後早期脳卒中患者における転倒の検討
Falls in Acute Stroke Patients.
杉山 修次
1,2
,
二木 立
1
Shuji Sugiyama
1,2
,
Ryu Niki
1
1代々木病院理学診療科
2坂総合病院理学診療科
1Department of Rehabilitation Medicine, Yoyogi Hospital.
キーワード:
脳卒中
,
転倒
Keyword:
脳卒中
,
転倒
pp.35-38
発行日 1986年1月10日
Published Date 1986/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105520
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はじめに
近年,脳卒中患者に対する早期リハビリテーションの効果が広く知られるようになった.しかし発症後早期で全身状態や障害がまだ安定していない段階では,様々な事故が生ずるため,厳重な管理が必要となる.
入院生活中に転倒すると,患者や家族,さらには病院スタッフも歩行に対して消極的になり,リハビリを妨げる結果になる.さらに骨折などを引きおこすと回復途上にある機能を逆行させてしまい,治療上重大な障害となる.
従来,老人の転倒については,多数の報告がみられる.また転倒の原因に関する報告も多い.Isaacs1)は大脳機能不全と異常歩行パターンが転倒の原因として重要であると述べている.またBrain2)は脳血管疾患による転倒の原因として注意力の低下をあげている.Naylorら3)は転倒したもののうち65%が脳疾患によるものであったと報告している.さらに,転倒時の状況4,5)や転倒後の合併症の報告6,7)も多い.
しかし,発症後早期の脳卒中患者の転倒をくわしく分析した報告はほとんどみられない.
今回われわれは,8回目の転倒で大腿骨頸部骨折をおこしたケースを契機として,転倒の要因・予防方法を知る目的で,意識的に転倒時の状況調査をはじめた.その際,専用の記録用紙を作製して,転倒はすべて報告することとした.それをもとに患者を疾病,機能障害,能力障害別にとらえ,転倒との関係を検討した.また転倒場所や転倒時の動作,転倒によってひきおこされる合併症についても検討した.
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