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はじめに
1992年4月の診療報酬改訂において,発症後6か月以降は,理学療法(以下,PT)と作業療法(以下,OT)の診療報酬の併用が認められなくなった.日本理学療法士協会診療報酬対策委員会のアンケート調査1)では,発症後6か月を超えた患者のうち,改善が期待できるのは10%未満であるとしたのが34.1%,10%以上20%未満であるとしたのが14.3%であった.両者をたすと約半数の48.4%にのぼる.また,6か月を超えた入院患者のPT・OT併用算定禁止への対応として,特に対処していない施設は22.1%で,その他ではPT・OTどちらかの実施回数を減らすか診療報酬の請求の調整をしている施設が多数あった.
東京都老人医療センターではここ2~3年,リハビリテーション病棟入院患者の発症からPT開始までの期間が3か月未満の割合は40~50%,3~6か月は30~40%,6か月以降は10~20%となっている.平均PT施行日数は,発症からPT開始までの期間に関係なく約3か月である2).したがって,発症からPT開始までの期間が3か月以上の約50~60%は,訓練前および訓練期間中に発症から6か月を超えてしまい,PT・OTの同一日の併用が打ち切られる可能性がある.脳血管障害患者の発症6か月以降のPT・OTの同一日の併用算定の禁止は,急性期を脱した患者の多いリハビリテーション専門病院もしくは老人病院にとって重要な問題である.
脳血管障害患者の機能回復に関する多くの報告3-6)では,発症6か月以内の時期に,ほぼ回復が固定するとされている.しかし,実際に6か月を超えた症例に対する訓練効果を,起居移動動作を含めて分析した報告は山本7)や傳ら8)の報告があげられるが,比較的少ないように思われる.
当センターでは,発症後の期間にとらわれずに,日常生活動作の向上にむけ,リハビリテーション医のもと,コメディカルの組織的な訓練体制をとっている.そこで今回,われわれは発症6か月以上の高齢脳血管障害患者に対する訓練効果に関して,主として起居移動動作の自立度変化を中心に発症6か月未満のものと比較検討した.
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