巻頭言
リハビリテーション医療と障害者の就労
蜂須賀 研二
1
1産業医科大学リハビリテーション医学
pp.1039
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106937
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リハビリテーション科に入院または外来通院している患者が労働年齢にある場合,治療終了時に職業復帰できるか否かは大変重要な問題である.身体障害者の一般雇用に関しては,昭和35年に制定された身体障害者雇用促進法により身体障害者を一定の割合で雇用することが定められ,昭和51年の改正で身体障害者の雇用が法的義務へと強化され,身体障害者の就労も稀ではなくなりつつある.リハビリテーション科の患者が職業復帰に成功するか否かは,原疾患の種類と重症度,性,年齢,機能障害,能力障害などが関係しており,さらに本人や家族の障害受容や就労に対する意欲,雇用者の身体障害者受け入れへの理解に基づいている.我々の病院ではリハビリテーション科入院患者の高齢化,重症化のため,職業復帰に成功する患者は数パーセント未満に過ぎず,現実はなかなか厳しい印象がある.
それでは,どうすれば身体障害者の職業復帰を押し進めることができるのであろうか.現在のところ,適切な職業関連活動の評価と訓練,カウンセラーの有効的活用,身体障害者就労に関する啓蒙活動が大切であると考えている.
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