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はじめに
編集者の依頼は,リハビリテーション看護の発展に伴い,従来の考え方,ならびに体制では対処できない問題が多々生じていると感じる.そこで基本を立ち返り,新しい視点から個々の問題について考えたいということであった.
子供のリハビリテーションについては本誌1987年9月に特大号があり,その中で大川1)は,「子供のリハビリテーション」は故高木名誉教授の「療育」という考え方にも示される通り,我が国のリハビリテーション医学の中で最も伝統ある分野であり,日本における戦後40年間の子供のリハビリテーションは肢体不自由児施設が背負ってきたといっても過言ではないと述べている1).
特にこの20年,肢体不自由児施設における入所児の病類別は表に示す通り医療の進歩とともに大きな変化をみせた2).この背景のもとに従来整形外科の領域で治療効果が少ないとされ,積極的な姿勢の薄かった脳性麻痺がクローズアップされてきた.多少の地域差はあるが,昭和40年代以降,入所児の過半数は脳性麻痺であり,しかも現在早期発見,早期治療,地域療育の充実,学校教育過程での受入れなどが進み,施設入所を必要とするのは重度重複障害をもった小児に比重が移行した3).看護の場面では以前にも増して療育の理念に支えられたリハビリテーションを目的としたアプローチ,考え方,対処の仕方を身につけた看護職の活躍が重要になり,それも多面化した.療育の理念4)の中には,日本にまだリハビリテーションという言葉が存在しない時代に,すでに考え方においてリハビリテーションの機能があり,またそれは拡大された看護の概念,包括的看護に一致するものと考える.今回,この考えの上に立ち,脳性麻痺を中心にその現状,特性,今後の在り方を探ってみたい.
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