Japanese
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特集 リハビリテーション看護の新たなる見直し
障害別にみたリハビリテーション看護の特殊性―慢性関節リウマチ患者の看護
Differentiation of Rehabilitation Nursing for Disabled Persons.
林 淑子
1
Yoshiko Hayashi
1
1慶応大学月が瀬リハビリテーションセンター
1Keio University Tsukigase Rehabilitation Center
キーワード:
リハビリテーション看護
,
慢性関節リウマチ
Keyword:
リハビリテーション看護
,
慢性関節リウマチ
pp.878-883
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106899
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はじめに
慢性関節リウマチ(以下RA)患者との付き合いは一生であるといわれている.患者にとっては通院可能な範囲にある,リハビリテーションの機能を備えた医療機関で,一貫したケアが受けられる状態が理想的であると思う.
実際に年齢・病状・病歴ともにほぼ同様な3名の女性患者の10年間の経過をみると,A氏は地元の主婦で定年まで小学校の教員をし,2人の子供を独立させ,現在は夫と姑との3人暮らしで,数年前に膝関節の置換術を受けてからは電動車椅子で家事をこなし,定期的に一人で外来通院している.自分の限界をよく知っていて,病状を悪化させることもなく維持している.
B,Cの両氏は独身で一人暮らし,遠隔地からの入院で何回かの入院・退院を繰り返した後は長期入院となり,病院という特殊な環境の中で医師や看護婦・医療スタッフに囲まれて,ちょっとした病状の変化に対しても敏感で訴えが多く,それに対応して薬剤や医療処置も増えている.また,ADLは介護者に依存的となり,訪ねてくる家族もなく,同室者との交流も減少し,徐々に全身的なレベル低下をきたし,ついには種々の合併症にみまわれて死に至っている.
RAの進行は患者の環境的背景に影響を受ける1)といわれているが,両者の比較からみるかぎり,長期入院生活はRA患者にとって必ずしも良い生活環境とはいえないようである.RA患者が入院加療中により良い生活がおくれるための環境を整備し,生活を支援することが,リハビリテーション看護にとって重要な役割であることを痛感する.
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