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実践講座 リハビリテーション医に必要な運動器のMRIの知識(4)
股関節のMRI
MRI of Hip Joint.
衛藤 義人
1
Yoshito Eto
1
1名古屋第二赤十字病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Nagoya Daini Red Cross Hospital
キーワード:
運動器障害
,
股関節
,
MRI
Keyword:
運動器障害
,
股関節
,
MRI
pp.467-472
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106806
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はじめに
MRI(Magnetic Resonance Imaging)とは,MR現象によって起きる信号を画像化し,診断を行うことである.MR像がもたらす画像には他の診断法と比較していくつかの特徴がある.その第1はプロトン(1H)密度情報である.これはCTの電子密度情報に対応する.第2は緩和時間T1,およびT2情報である.これらにより運動器においては外傷,炎症,壊死,一部の代謝性疾患に有用である.他の特徴として放射線の被曝なしに関節,靭帯,筋肉,軟骨,滑膜などが明瞭な陰影で見ることができることである.
股関節においては股関節炎,大腿骨頭壊死,ペルテス氏病などに対する病状,病期の把握に用いることができる.筋骨組織におけるMRI信号像はT1およびT2では次のように読影できる.T1強調画像では骨皮質はあまり描出されず,筋肉,炎症,新生物,血管増生などは低信号に,脂肪組織は高信号に,軟骨や関節液はその中間の濃度で描出される.T2強調画像では骨皮質はやはりあまり描出されず,筋肉は低信号に,関節液,新生物,血管増生は高信号に,軟骨,脂肪組織は中間の濃度に描出される.
このように,股関節疾患におけるMRIは今までに使用されていたX線診断法(単純X線,断層撮影,CT,関節造影)や超音波診断などよりも多くの情報を1回の検査で与えてくれる.
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