巻頭言
リハビリテーションの教科書
栢森 良二
1
1帝京大学医学部リハビリテーション科
pp.265
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106762
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日本でもリハビリテーションという言葉が人口に膾炙するようになってきた.米国では,一般の人々と会話をしていて,ようやくphysiatrist(リハビリテーション医)という言葉が,何を専攻しているのか定かではないが,とにかく何かの専門医であるということが認識されてきているようである.かのHippocratesは人間には自然に治癒する力physisが存在すると言っている.英語の辞典を引いてわかるように,医者は決してmedicine man(呪い師)でなく,physicianと載っている.リハビリテーション医にとって,physiatristの中にphysi-という接頭語が残っていることは,ある意味で名は体を表しているので,この言葉は馴染みやすいのではないか.ちなみに南山堂出版の加藤の医学英語辞典ではphysiatristはいまだ自然療法専門医と訳されている.
学生の頃に,Salter RBの教科書,Textbook of Disorders and Injuries of the Musculoskeletal Systemの中に,治療の原則はAmbroise Pareの“Je le pansay,Dieu le guarit”(我は包帯を巻くのみ,神が治し給う)であるという言葉を見いだした.教科書は時として人の進路を決めることもあり,多くのことを教えてくれる.
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