Japanese
English
特集 膀胱直腸機能
排便の生理
Physiology of Defecation.
岡田 博匡
1
Hiromasa Okada
1
1川崎医科大学生理学教室
1Department of Physiology, Kawasaki Medical School.
キーワード:
排便反射
,
自律神経活動
,
橋排便中枢
Keyword:
排便反射
,
自律神経活動
,
橋排便中枢
pp.433-440
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106528
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はじめに
大腸の主な機能は小腸より輸送されてきた糜汁を長時間貯留し,この間に水分,Naその他の塩類を吸収して半固形状の糞塊にし,排便反射によって外界に排出することである.
成人では1日約1500mlの糜汁が回腸より入り,大腸で約150gの糞便として排出される.また,小腸で吸収されなかった食物残渣は大腸内細菌によって消化される.通常固形状の大腸内容物は下行結腸からS状結腸内に停滞しており,直腸内には糞塊はなく空虚になっている.糞便が蠕動運動によって直腸内に送り込まれると,直腸壁が刺激されて排便反射が発現する.この反射には直腸内の神経叢,脊髄の仙髄部,脳幹などを経由する反射が存在し,排便反射は複合的な反射弓から構成されている.また,直腸刺激による排便反射の前段階として直腸内に糞便を移行するために必要な腸内反射,種々の腸外反射が関与している.
今回は,まず大腸運動,神経支配の概要にふれ,ついで排便反射について言及する.
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