Japanese
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特集 直腸癌術後の排便障害―低位前方切除後症候群(LARS)
II. 各論
1.直腸・肛門の解剖・機能と排便のメカニズム
Anorectal anatomy and function and defecation mechanism
味村 俊樹
1
,
本間 祐子
1
T. Mimura
1
,
Y. Homma
1
1自治医科大学消化器一般移植外科
キーワード:
大蠕動
,
内容識別能
,
肛門括約筋
,
排便反射
Keyword:
大蠕動
,
内容識別能
,
肛門括約筋
,
排便反射
pp.971-979
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_971
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健常者が便意を感じていないときには,排泄されるべき状態の便は,大蠕動の前にはS状結腸に貯留していて直腸は空虚である.直腸は,S状結腸からきた便を排便までの間だけ一時的に貯留する部位であって,長時間貯留しておく部位ではない.肛門管は,歯状線を境に,口側は触覚のない単層円柱上皮からなり,肛門側は触覚の鋭敏な重層扁平上皮からなり,これがサンプリング反射による内容識別能に関与している.排便時は,便意に伴う排便反射による直腸収縮と怒責による腹腔内圧で上昇した直腸内圧が,肛門内圧を上回ると便が排出される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023