Japanese
English
講座 評価会議(1)
前頭葉症状,失認・失行を伴った脳卒中後両側性片麻痺
Bilateral Hemiplegia after Stroke accompanied with Frontal Lobe Syndrome, Agnosia and Apraxia.
森田 秀明
1
Hideaki Morita
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health.
キーワード:
片麻痺
,
評価会議
,
チーム医療
Keyword:
片麻痺
,
評価会議
,
チーム医療
pp.299-305
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106499
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はじめに
リハビリテーション(以下リハビリと略す)医療では,その患者(障害者)の持つ多種多様な障害構造のために,各種専門職が歴史的に発達してきて,今日ではチーム医療の形態をとっている.つまり従来の治療体系の医学的アプローチの主体である医師と看護婦だけでは,もはやリハビリで扱う患者(障害者)を効果的に包括的に治療出来なくなっている.
従ってそのチームアプローチの構成員は,医師,看護婦,理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語療法士(ST),医療社会事業員(MSW)等からなり,評価会議を開き,お互いの専門分野の情報を交換し,主治医がそれらを統合して目標の設定をし,包括的リハビリ・プログラムが立てられる.
医師は,患者の医学的管理をおこないながら,チームの統合をして,いわば,オーケストラで言うコンダクター的役割をはたす必要がある.すなわち評価会議で患者の持つ多くの問題点が明らかにされ討論された後に各パートでのアプローチの優先順位の判断をし,指示すべきである.
この目標の設定は,急性期や亜急性期では,暫定的に当面到達出来そうな目標を決め,発症後3カ月前後である程度の最終目標を立てることが出来る.新鮮例でない場合には,普通入院後1カ月間リハビリを施行してみると大体の予測は立てられるものである.
ここに示す例は,両側性片麻痺(再発例)で,主に左片麻痺と体幹バランス障害を呈し,強度の前頭葉症状と左半側視空間失認と失行を合併した例で,当科での3カ月半の入院リハビリ経過について述べる.
初回評価会議は,普通入院後2週間前後で開くのを原則としているが,本例は都合により入院後20日目にひらかれた.
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