一頁講座 イラスト・神経学的テスト(10)
小脳系の診かた
前島 伸一郎
1
,
土肥 信之
1
1藤田学園保健衛生大学リハビリテーション医学教室
pp.825-826
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106366
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はじめに
小脳は共同運動の中枢であり,反射から随意運動に至るまでの種々の段階における運動を制御している.小脳虫部の底面にある片葉と小節(古小脳)は脳幹の前庭系と関係し,そのほかの虫部(旧小脳)は脊髄小脳路からの線維を受けている.これらは姿勢の調整や体幹の平衡に重要な機能を持っている.このため,小脳虫部に障害を受けると体幹失調を呈する.小脳半球(新小脳)は皮質橋路からの入力と歯状核,視床,皮質路の出力による大脳・小脳ループにより,主として四肢の随意運動を円滑に行うための調整に重要な部分である.小脳半球に障害を受けると,患側肢に筋緊張低下,測定障害,共同運動障害,変換運動障害などの失調症状*を呈する.
さて,本稿では代表的な小脳症状をあげ,診察の要点について解説を加える.
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