Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
小脳の機能の解明に科学的な目が向けられたのは今からおよそ350年前である。Sir Thomas Willisは比較形態学的見地から種々の動物の脳を観察し,大脳が系統発生学的にきわめて大きな差を示すのに対して,小脳の大きさや形状がそれほど異ならないことから,小脳は不随意運動を遂行する神経系に精気を与えるものと考えた。以来,破壊,刺激,薬物使用などの手法を用いて多くの研究が重ねられ,伝統的には小脳が運動機能の遂行における運動協調をつかさどるものと考えられるに至った(Flourens,1824)。かような体性神経系にみられる機能のほかに,自律神経系においてもなんらかの役割を果たすことが古くから知られていたが,ここではまず小脳の刺激によって誘発される自律神経反応と,それに関連する行動の発現についてその研究の歴史を述べ,ついで小脳と循環系の制御に関する研究の進歩,そして近年注目されるに至った室頂核昇圧反応とその生物学的意義,最後に室頂核刺激で誘発される行動と循環反応について解説を加え,小脳による循環制御機構の新しい研究の方向とその将来の展望について述べる。
It has long been known that cerebllear stimula-tion elicits autonomic and behavioral responses. Stimulation of the cortex and interior portions of the cerebellum evokes pupillary changes, micturi-tion and piloerection both in anesthetized and unanesthetized animals. On the other hand, be-havioral and motor responses can only be observed in unanesthetized and unrestrained conditions. In any events, somatic and autonomic nervuous sys-tems arc usually co-activated to perform well organized behavior.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.