Japanese
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講義
小脳の入力と出力の通信を連結する系
Interlocking systems of communication to and from the cerebellum
John C. Eccles
1
1Department of Physiology, School of Medicine, State University of New York at Buffalo
pp.59-82
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902979
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Ⅰ.構造についての考察
小脳が中枢神経系の幅広い働きの中で計算機のような機能をもつことは,現在一般に認められている。小脳はまず下等な魚類において側線器の入力データを処理し,遊泳運動を制御するために発達したが,進化が進むにつれ,小脳は多種のデータ計算,とくに熟練運動の制御のために用いられるようになつた。こうして鳥類では飛翔運動を制御するため小脳は大いに発達し,図1にみるように哺乳類の進化に伴い,大脳と比例して進化している。小脳に病変があると円滑・繊細な運動制御ができなくなり,多種の運動障害をひきおこすことが,百年以上も昔から知られている。
図2は小脳の主要なニューロン経路を示している。これらの解剖学的経路とその生理学的機能は最近の著書(Eccles, Ito and Szcntágothai, 1967)で詳しく解説した。それ以後の最も顕著な研究成果は,中枢神経系の定量的研究の範となる四つの解剖学的論文(Palkovits, Magyar and Szentágothai, 1971 a, b, c, 1972)に述べられている。表1にはネコの小脳におけるこれらの定量的研究の成果が盛り込んである。図2には小脳の二つの入力路,つまり登上線維(CF)うと苔状線維(MF),そして唯一の出力路であるプルキンエ細胞の軸索が示されている。
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