Japanese
English
総説
脊髄小脳路系の投射様式
The Pattern of Projection of the Spinocerebellar Systems
松下 松雄
1
Matsuo Matsushita
1
1筑波大学基礎医学系解剖学部門
1Department of Anatomy, Institute of Basic Medical Sciences,The University of Tsukuba
pp.1121-1134
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205619
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まえがき
脊髄小脳路として,後または背側脊髄小月1麺路と前または腹側脊髄小脳路の2つが古くから知られている。それらの定義に関する問題については,以前の総説で詳しく論じた17)。ここでは,現在一般に定義されているように,背側脊髄小脳歴各はクラーク柱から起り,腹側脊髄小脳路は脊髄辺縁細胞から起る経路であるとする。しかしながら,脊髄小脳路起始ニューロンはこれらの2群だけではなく,今日では形態学的に異なる多くのニューロン群が区別されている。従って,文献を理解する際に注意しなければならないことは,論じられている背側または腹側脊髄小脳路は上記の2つの起始ニューロン群を同定した上で研究されているかどうかということである。
本総説では,これまで明らかにされて来た脊髄小脳路ニューロン群とその投射様式について述べる。起始ニューロンについては先に詳しく論じてあるので17),ここでは要点を述べるにとどめる。脊髄小脳路は図1に示す領域に投射する。その投射ば一様ではなく,6つの縦帯を形成して投射することが変性実験で明らかにされていた35,36)。しかしながら,最近の研究では投射帯はもっと複雑で,起始ニューロン群により異なることが見出されて来ている17,18,24)。ここでは,このような領域内で,脊髄小脳路ニューロン群がどのような局在投射をするのかについて,HRPの逆行性標識法で得られた以前の所見とWGA-HRPの順行性標識法で得られた最近の知見(未発表データを含む)とを対比して解説する。
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