Japanese
English
研究と報告
成人脳性麻痺者にみられた構成障害について
Constructive Disorders in Adult Cerebral Palsied Persons.
染矢 富士子
1
,
野村 忠雄
2
Fujiko Someya
1
,
Tadao Nomura
2
1金沢大学医療技術短期大学部
2石川整肢学園
1School of Allied Medical Professions, Kanazawa University.
2Ishikawa Children's Orthopedic Center.
キーワード:
脳性麻痺
,
構成障害
Keyword:
脳性麻痺
,
構成障害
pp.117-120
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106004
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
成人脳性麻痺者をよく観察していると,絵図を描くことがうまくできないのに実用性のある書字が可能な例をよく見うける1).このように脳性麻痺者において,図形や文字の認知の発達の度合いに差のみられることは興味深い.図形の認知能力は,描画,積み木図案といった構成課題で評価することができる2)が,書字能力については,かな文字と漢字の差の問題3)もあり,標準化された課題は少ない.鎌倉4)は文字の形態知覚を調べる方法に写字を挙げており,課題が文字であると意識できた症例には,むしろ字に似てそうでないものを模写させる方法をとっている.また,幼児には一時的に鏡文字を書く時期があり,園原ら5)はこれを図形の向きの認知の発達段階に基づくものと考えている.
ここで,脳性麻痺者で構成課題につまずきを示す者が,どのように文字の形態を知覚し書字を行っているのか,その糸口をとらえる試みをしたので紹介する.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.