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概観
ちょうど10年前の1997年に,脳性麻痺児を座位と移動の能力でレベル分けするGross Motor Function Classification System(GMFCS)が発表されている1).この尺度は,年齢毎に変わっていく幼児期から学童期にかけての脳性麻痺児の能力に合わせて記載の内容が変化していくという画期的な発想の転換から生み出されたものであり,その後,瞬く間に全世界に普及していった.筆者はその考案者の一人であるRosenbaum氏より,カナダのMcMaster大学でその草稿を見せていただく機会を得て,日本に紹介させていただいている2).
脳性麻痺に対するリハビリテーション・アプローチのここ10年間の大きな変化としては,その前(1997年以前)の10年間で考案されたGMFCSを代表とするさまざまな評価尺度を使用することによって,徐々にエビデンスが積み上げられつつあることである,ただし,それはまだ十分とはとても言えない.例えば,アメリカ脳性麻痺発達医学協会(American Association of Cerebral Palsy and Developmental Medicine;AACPDM)は,脳性麻痺児に使われる代表的な治療法6件に関するエビデンスレポート/システマティックレビューを発表しているが(表1),そのいずれも「有益な効果がある,あるいはそれを否定する十分なエビデンスがない」という結論をだしている.加えて,低体重出生児の生存が可能となったことによる脳性麻痺の発生率や障害のパターンの変化を科学的にとらえるためには,脳性麻痺という疾患概念が統一される必要があり,2004年に国際的ワークショップにおいて脳性麻痺の定義と分類が試みられている.
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