巻頭言
立場のちがい
明石 謙
1
1川崎医科大学リハビリテーション科
pp.647
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105654
- 有料閲覧
- 文献概要
言い方にもよるが「本音と建て前」だったり「現実論と正論」というものがある.臨床医として働いていると度々このような事例にぶつかり,又,それと気付かずに後で「ああこれもそうか」などと思ったりすることがある.しかも場合により立場が微妙に変化して,ある時にはギャップに落ち込んだり,ある時は正論側になり,また時には本音の方の立場に立っていることもある.
「ある患者は脳性麻痺で訓練を受けているが,てんかん発作もあり投薬をうけている」という場合を経験される方も多いと思う.その場合「発作を抑え込むには少くともこの薬が毎日これだけ必要だ」ということで,その通りに投薬を行うと患者はいつもボンヤリとしており,訓練はほとんど進まない.そこで薬を手加減し少くすると,どんどんプログラムは進行し喜んでいると発作が起こってしまう.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.