臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VI.神経・筋疾患
脊髄小脳変性症
祖父江 逸郎
1
1名大第1内科
pp.1990-1993
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207574
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
概念
脊髄小脳変性症は臨床的には運動失調を主症状とし,病理的には小脳およびそれに関連する神経経路の変性を主体とする原因不明の変性疾患の総称である.したがって,病変の分布や拡がりによってあらわれる症状の組み合わせが異なり,発症の年齢や経過などにも違いがあるので,この中にはいくつかの疾患が含まれている.脊髄小脳変性症の歴史は古く,1861年Friedreich型の運動失調症が最初に記載され,1893年Pierre MarieによってFriedreich病とは別のMarie型遺伝性運動失調症が報告された.その後も臨床病理学的検索により次々に種々の型の疾患が報告されている.脊髄小脳変性症にはこのようにいくつかの疾患が含まれているが,これらのものがそれぞれ独立的なものとして理解してよいかどうか,お互いの疾患相互間の関連についてもなお問題点が残されている.
運動失調を主体にし,他の随伴症候をもち,脊髄小脳変性症に類似するもので,代謝異常の存在などが明確にされたものがあるが,現在ではこれらのものは脊髄小脳変性症の群とは区別して取り扱われている.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.