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特集 バランスと協調運動
運動失調に対するリハビリテーションの変遷
Transition in rehabilitation of ataxia.
中村 隆一
1,2,3
Ryuichi Nakamura
1,2,3
1東北大学
2東北文化学園大学大学院
3希望病院
1Tohoku University
2Tohoku Bunkagakuen University Graduate School
3Nozomi Hospital
キーワード:
運動失調
,
脊髄癆
,
脊髄小脳変性症
,
理学療法
Keyword:
運動失調
,
脊髄癆
,
脊髄小脳変性症
,
理学療法
pp.115-119
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101173
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運動失調とは
運動失調(ataxia)という術語は,1846年にBouillaudによって発熱を表す言葉(元来は機能異常の意味)から転用され,運動の協調性が失われた状態を指すようになった1).運動失調は一般名辞であり,複数の臨床徴候がこの名辞に包含されている.運動失調は協調運動障害と同義に扱われることもある.
日本神経学会2)は「協調運動は1肢を構成する複数の肢節の合目的的な調和のとれた運動,または身体他部の同様な運動を言う.指鼻試験における上肢,前腕,手,示指の協調的な動きであり,この異常が協調運動障害である」と解説している.Garcin1)は「運動失調は協調運動障害であり,筋力低下とは無関係に随意運動の方向や範囲を部分的に変え,姿勢やバランスを維持するのに必要とされる持続性の随意的あるいは反射的な筋収縮の機能障害である.運動失調は要素的な運動および目的運動の遂行に関与する姿勢の保持とバランスの調整における秩序,継起,程度の乱れである」と記している.これには動的運動失調(目的運動の協調性の異常),および静的あるいは姿勢時運動失調(随意的および反射的な持続性筋収縮の維持と制御の異常)がある.構えやバランスに働く複数の機構が関与する立位姿勢は,種々の静的協調運動の組み合わせとして説明される.立位や歩行は複雑な構えの動的協調運動を必要とするため,運動失調では容易に異常となる.
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