Japanese
English
特集 失調症
運動失調の神経生理
Neuroplysiology of Motor Disorders.
島村 宗夫
1
Muneo Shimamura
1
1東京都神経科学総合研究所神経生理学部門
1Department of Neurophysiology, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences.
キーワード:
運動失調
,
小脳
Keyword:
運動失調
,
小脳
pp.95-99
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104268
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はじめに
脳とか脊髄など中枢神経系に障害があるとそれぞれに応じた症状が現われる.それが運動失調の場合もあれば感覚異常,自律神経機能の失調として,あるいは思考能力の異常として現われる場合もある.これらは脳などがもともと持っていた機能が,その部の障害によって脱落あるいは解放現象release phenomenaとして現われたものと考えられている.しかし脳などは他の多くの部分と相互に連絡をもっているので,脱落症状もそれ程単純ではなく,二次的に機能の亢進をみる場合もあり,さらに機能の代償も行われて複雑である.失調症には小脳性,前庭器官,後索に依存するものが含まれるが,ここでは主に小脳性の運動失調を取り上げようと思う.この場合にも上記の機序の色々の組合せによって症状として現わされているものと考えられる.ヒトの小脳性運動失調の機序は充分明らかにされているわけでなく,また動物での破壊実験などの成績とも必ずしも一致しない.小脳の働きの面と比較生理学の面とからヒトの運動失調を考えてみたいと思う.
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