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特集 ファシリテーション・テクニックの再検討
ファシリテーション・テクニック―その現状に対する私見
Facilitation Technique: My Opinion to Current Status in Japan.
大川 嗣雄
1
Tsugio Okawa
1
1横浜市立大学病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University Hospital.
キーワード:
ボバス法
,
ボイタ法
,
PNF
Keyword:
ボバス法
,
ボイタ法
,
PNF
pp.169-172
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105554
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はじめに
わが国において,ファシリテーション・テクニックが導入されてから10年以上の歳月が経過した.その歴史的な流れについては,上田1)の論文に詳しいので,ここでは簡略にのべる.
しかし,いずれにしても1973年Bobath夫妻の来日以後,わが国でのファシリテーション・テクニックは1つの治療として地位を築いて来たといえるであろう.
その流れの中でわが国においては多くのテクニックが導入されて来た.しかし,その中で最も大きな影響を与えたのは,Bobath法であったと思われる.これは,わが国の肢体不自由児施設の療育対象が脳性麻痺に移り変って行く時代と丁度一致したこともあって熱狂的に迎え入れられることになった.
一方,Bobath法と前後して,PNF,Brunnstrom法,Rood法なども導入されるに至った.そして,これ等の多くは中枢神経の障害(特に成人片麻痺)に主として用いられて来た.しかし,これ等の方法はBobath法のように大々的には取りあげられないまま現在に至っていると思われる.
これに対して,昭和50年にはVojta博士がセラピスと共に来日し,Vojta法を教えて行った.この方法は,すでに佐竹や中嶋によってわが国に伝えられていたが,これも折からの脳障害児の超早期療育という動きに合致し,その後肢体不自由児施設や小児神経科医によって広く行われるに至った.
このようにみて来ると,わが国におけるファシリテーション・テクニックは,肢体不自由児施設におけるBobath,Vojta法,その他のPNF,Brunnstrom法に分けることが出来る.このような流れを踏まえて,わが国の現状を概観したい.
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