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はじめに
わが国のリハビリテーション病院または施設において,脳卒中の占める割合いが非常に多いことは周知のとおりである.一方,新しい医学の分野であるリハビリテーションがわが国に根を下ろしてからまだ日もあさいこともあって,脳卒中のリハビリテーションの方法もかならずしも確立されているとはいえない.ちょうどこのような時期に,米国ではリハビリテーション医学アカデミー(American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation)とリハビリテーション医学会(American Congress of Rehabilitation Medicine)が米国の主だった施設での脳卒中患者にたいするリハビリテーションの方法がどのように施行され,かつ有効であるかを検討する脳卒中予後調査委員会を設け,1979年に全国的なレベルでの調査に着手した.そして,慶応大学月が瀬リハビリテーションセンターは国外からのただ一つの施設として参画して,米国の状況と比較検討する機会を得た.その調査項目の内容は膨大であり,すべてをここに報告する事は不可能であるが,日米両国間の脳卒中リハビリテーションで最も興味ある相違点を中心にのべる.
そもそも脳卒中予後調査(Stroke Outcome Study)は以下の4項を目的として実施されたものである4).
1)リハビリテーション医療の教育を行うこと.すなわち,この調査に参画することによって,自分達の行っている脳卒中患者の治療法の妥当性を確かめ,かつ,この研究の普遍性をリハビリテーション医療専門職員すべてに知ってもらうこと.
2)脳卒中リハビリテーションに関して,より効果的な方法を,この調査研究に参加した病院施設のみならず,全国的なレベルで広める.
3)統一した調査データをもとに,各病院施設の脳卒中リハビリテーションが他と比べてどのような問題点を抱えているかをフィードバックする.
4)脳卒中リハビリテーションの予後に関与する因子を検索し,将来,脳卒中患者によりよいリハビリテーションを施行する方法を確立する.
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