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日米両国に於ける病院制度の比較(下)—特に根本的に相違する諸点について
小林 玄一
pp.222-236
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201213
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IV.日本の病院長と米国病院のAdministrator
両者の在り方にも両国の病院制度そのものの相違が深く影響している事を吾々は見逃す事は出来ません。日本人の通念では病院長と云いますと病院の診療面の代表者,即ち有能なお医者さんと云う印象が強いわけですが,米国のVoluntary hospitalsの長であるところのAdministrator(管理者)と云うのは,どちらかと云いますと,病院と云うSpecialized hotelのManagerと云う感じを強く与えています。こう云う一般人の印象は充分な根拠があるのであつて,それは日本の病院長の職務が診療面に重点を置かれているのに対して,米病院の管理者の仕事は病院の管理運営の面に重点がおかれているからです。即ち日本の病院長の場合,病院医師とその診療の監督統制と云う事に重点が置かれているわけですが,米病院のAdministratorの場合は診療上の責任は病院医師団の自治的統制を通じての間接的な責任としその直接責任は病院管理運営面にあるとしているわけです。
従つて日本の病院長は是非医師でしかも有能なそして人望のある医師が望ましいわけだが,米病院の方では必ずしも医師でなくても良いと云う風になつて来ています。これは米国社会に於けるSpecialization専門分化の一つの現れであるとも考えられます。
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