特集 脳卒中のリハビリテーション
特集にあたって
横山 巖
1
1七沢リハビリテーション病院,脳血管センター
pp.823
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105477
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脳卒中のリハビリテーションはリハの諸領域の中で古くて常に新しい領域である.リハ医療の対象者数の首位を占めるものは脳卒中であり,したがってこれに携わる医療関係者の数も最も多い.そして絶えず新しい知見の開発や,関連領域からの技術の導入などが行われている.
今回の特集は最近話題となっているいくつかのトピックスの中から4題のテーマが選ばれて構成されている.
脳卒中のリハビリテーションに関する日米の比較は,千野氏が既に何回かリハ医学会に於て発表してこられたものをまとめられたものであるが,日米間のちがいとして最も驚かされることは,米国におけるリハ入院期間の平均37日という短さである.発症からリハ退院までは平均56日ということで,これからまだまだ機能回復がもたらされるという時期である.三好正堂氏が5,6年前,ちょうどHirschbergのRehabilitation Medicineを翻訳した前後に米国を訪れた折に寄せられた私信にも,ほぼ同様の短期のリハ入院の傾向が記されており,一驚を喫したものであった.わが国の健康保険制度は色々不都合な点は多いが,しかし財産を傾けることなくリハ医療を享受できるという点ではわが国の国民は恵まれているといえよう.但し,全国どこでも,一定レベル以上のリハ医療がうけられるという,リハ医療体制の整備充実が前提となるが.
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